横田滋さんの逝去を受け、奥さまの早紀江さんと双子の息子さんでめぐみさんの弟である拓也さんと哲也さんが記者会見を開かれました。同会見を取り上げたニュース番組はいくつか目にしましたが、そういうのは必ずカットされており(時間的にも仕方のないことですが)、私にしてみれば余計な解説も多いため、本日落ち着てノーカット版を見ることにしました。また、会見の席で息子さんがメディアに苦言を呈し、それを大手マスコミは報道しなかったというニュースがネットで散見していたため、それがどんな発言だったのかも気になっていました。
当たり前ですが、3人がおっしゃっていることは至極真っ当でした。会見内容をざっと列挙すると、
安倍首相は拉致問題にとても尽力している。何も取り組んでいない勢力が安倍首相を非難するのは間違い。
拉致問題は横田家の問題ではなく、国の問題である。
拉致問題の解決はめぐみさんの帰国ではなく、拉致被害者全員の帰国でないと意味がない。
日本国内には敵も味方もいないはず。悪いのは北朝鮮。
与党も野党も協同して(国を挙げて)拉致問題に取り組んでほしい。
拉致被害者が自分の子どもや親だったらどうか、という想像力を働かせてほしい。
拉致被害者の親族の高齢化にともない、政府には具体的な成果を期待したい。
となります。最初のものが、息子さん(哲也さん)からの苦言部分で、正確にはこうおっしゃっていました。
「拉致問題が解決しないことに対して、あるジャーナリストやメディアの方などが『安倍総理は何をやっているのだ』とおっしゃる方がいます。『北朝鮮問題が一丁目一番地として掲げていたのに何も動いていないじゃないか』という発言をここ2~3日のメディアで目にしておりますが、安倍総理・安倍政権が問題なのではなくて、40年以上も何もしてこなかった政治家や、北朝鮮が拉致などするはずがないと言ってきたメディアがあったから、ここまで安倍総理・安倍政権が苦しんでいるんです。安倍総理、安倍政権は動いてやってくださっています。なので、何もやっていない方が政権批判をするのは卑怯だと思います。拉致問題に協力して、さまざまな角度で協力して動いてきた方がおっしゃるならまだ分かりますが、的を得ていない発言をすることはこれからやめてほしいと思っています」
非常に重い言葉です。会見の場には該当するメディアやジャーナリスト、あるいはその関係者もいたはずです。それをわかっての発言ですから、こうした人たち(勢力と言った方がいいかもしれません)がどれほど被害者救出の障害となり、どれほど被害者家族の苛立ちや苦悩の原因となってきたかを率直にお話しされたのだと思います。哲也さんの口調は、「安倍総理・安倍政権が問題なのではなくて」の部分で明らかに変わっていました。そして、ご自身の前に座る各メディアをゆっくり見渡しながら、厳しい口調で話しておられました。
私は拉致問題についてまだまだ勉強不足のため、後になって知ったことがたくさんあるのですが、その中でも北朝鮮による拉致などあり得ないとする政治家やマスコミが日本にいたことには驚愕しました。
拓也さんも
「私たち横田家、横田両親をずっと長い間そばにいて支援してくださった安倍総理、『本当に無念だ』とおっしゃってくださっています。私たちはこれからも安倍総理と共にこの問題の解決を図っていきたいと思っております」
とおっしゃっており、横田家と安倍総理との信頼関係がとても強いことが分かりました。私たちの見えないところで安倍総理の尽力があり、横田家の皆さんが総理に大きな信頼を置いておられることは、拉致問題解決への自信と勇気になっていると思います。
私は前回のブログで、問題解決にこれほど時間がかかってしまっている安倍政権への苛立ちを書きました。それは今もそう思っていますし、ご家族のことを考えるといつまでも時間がかかっていい問題ではありません。また、この問題を解決できるのは個人ではなく国家しかない以上、もちろん相手は北朝鮮という常識が通用しない相手であることを重々承知のうえで、安倍政権には一刻も早く解決してほしいと願っています。
拓也さんはこう付け加えておられます。
「国会においては与党・野党の壁なく、この問題解決のためにもっと時間を割いて、具体的かつ迅速に解決のために行動してほしいと思いますし、マスコミの皆さま方におかれましても、イデオロギーに関係なく、この問題を我がこととしてもっと取り上げてほしいと思っています。自分の子どもならどうしなければいけないかを問い続けてほしいと思っています」
私も本当にそう思います。前に私は政権批判ばかりを繰り返し何もしない野党に対しての不満を書きましたが、メディアも含めて、この問題は党やイデオロギーの壁を越えて一丸となって対応すべきだと思います。
最後に、滋さんの逝去がコロナの蔓延期と重なったため、ご家族は滋さんの最期に立ち会えなかったのではないかと個人的に心配していましたが、会見で、早紀江さんは滋さんの耳元で「天国で待っていて。私も行くから忘れないで」と語りかけ、滋さんはうっすら涙を浮かべながら静かに亡くなったとおっしゃっていました。最期はご家族に看取られたとのことで、本当に良かったと思いました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
※こちらが会見のノーカット版動画です。1時間ほどですので、余計な解説なしでじっくりご覧ください。