他のドライバーとの
トラブルを避けるヒント

 日本と同様、アメリカにも乱暴な運転をするドライバーはいます。また運転中、ドライバー同士のちょっとした意思疎通・コミュニケーションのすれ違いにより相手が激怒。それがケンカやあおり運転へと発展することがあります。
 また、なぜか自分の運転に対して、他のドライバーが激怒したり乱暴な運転を仕掛けてくることがあります。自分としては普通に運転しているつもりでも、他人からするとそうは見えないことがあるからです。そうした(いわれのない)衝突を避けるために、次のことに注意してください。

割り込み運転をしない
 車線変更する場合は必ず方向指示器を使い、他の車両に近寄り過ぎないように注意して車線変更してください。車線を変更したら、方向指示器は速やかにオフにします(点けっぱなしは他の車の混乱を招きます)。

左車線(追い越し車線)では遅く運転しない
 低速で走ることで追い越し車線をブロックしてはいけません(=遮ってはいけません)。他の車両が速度を上げて運転してきている場合、左側の追い越し車線はその(追い越したがっている)車に譲ってください。

追尾走行をしない
 前を走っている車両とは安全な距離を保って運転してください。前車両のドライバーからああおり運転と勘違いされるような狭い車間距離での運転はしてはいけません。

他のドライバーにジェスチャーで感情(意思)を伝えない
 日本とアメリカではジェスチャーが異なることがあり、また同じ動作でも誤解が生じる場合があります。そのため、ジェスチャーで意思を示す必要がある場合は、明らかに非友好的または卑猥と解釈されない方法で行ってください。

右折拒否しない
 「赤信号での右折禁止」のサインがない限り、進行方向が赤でも一旦停止すれば右折することができます。だからと言って信号が青になるまで待つことは違法ではないのですが、後方車両の運転者をイライラさせることにつながります。そのため、赤信号での右折が可の場合は、一旦停止と共に安全を確認したうえで、問題がなければ右折してください。

正しいスペースに駐停車する
 1台分以上のスペースにわたって駐停車してはいけません。障がい者用の表示札やナンバープレートを持っていない場合は、障がい者用駐車スペースに駐停車してはいけません。

ヘッドライトの向きに注意
 対向車がいる場合や、後方から相手の車に近づいている場合はライトを下向きにします。もし対向車がヘッドライトを上向きにしていても、それに対して上向きライトで対抗してはいけません。

他の車両が合流してくる場合、スペースを空けてあげる

クラクションは緊急時にのみ使用する

乱暴なドライバーは先に行かせる

 一方、運転中に自分が感情的になった時はとにかく落ち着き、その場での混乱を避けるよう努めてください。運転しているのが日本ではなくアメリカであることを十分理解し、ここで何か問題が起これば、その発端がどちらかに関わらず外国人(日本人)である自分が不利になる可能性が高くなります。


衝突事故を避けるための運転速度

 衝突事故は、周りを走る車両より運転速度が速過ぎる、あるいは遅過ぎる場合に起こりやすくなります。速度を上げて走ることで追突事故への関与の可能性が高まりますし、そもそもスピードを上げても走行時間はあまり短縮されません。一方、遅く運転したり突然停止したりすることは追突事故を誘発する可能性を高めると同時に、あなたの車にぶつからないよう周囲のドライバーに進路(走行車線)変更を強いることにつながります。
 追い越し車線走行中に、右車線から自分を追い越そうとしている車両がいたり、自分の後方に車両の列ができていたりする場合は、安全を確認してから速やかに右車線に移り、当該車両を先に行かしてあげるよう心がけてください。


厳しい自然環境下ので注意点

 いたるところに大自然が広がっているアメリカ。日本ではまず見ることのない絶景を楽しみながら運転することは、アメリカでのドライブの醍醐味と言えます。しかしその分、厳しい気象状況に見舞われる場合があります。そうした状況での安全運転・事故予防策をご紹介します。

■強風時■

効率的に減速すること
徐行することで車両をよりうまく制御でき、車両が突風にあおられた場合の反応時間が長くなります。

ハンドルを握る手の位置をしっかりと維持すること
風の吹き方(向きや強さ)は予測不能です。突風にハンドルが持っていかれて急ハンドルを切ってしまう可能性があるため、手でハンドルをしっかり握っていてください。

前方をしっかり警戒すること
前方をよく見て、路上にがれきなどがないか注意します。強風により高速道路上にがれきやゴミが散らばっていたり、目の前にがれきが飛んでくる可能性があります。前方をよく見ながら運転することで、路上における危険への反応時間が長くなります。

クルーズコントロールは使用しないこと
不測の突風が吹いた時のことを考えて、自力のアクセルによる制御を心がけてください。

無理をしないこと(自ら進んで対策を講じること)
無理せず強風が止むのを待ったり、道路から降りて休憩したりするなど、安全を最優先に確保してください。

■濃霧や煙の中■

 濃霧や煙の中での安全運転の基本は「運転しない」ことです。基本的には霧や煙が晴れるまで運転しないでください。ただし、どうしても運転しなければならない場合は次のことに注意してください。

・ゆっくり運転すること。

フロントガラスのワイパーをオンにし、下向きでヘッドライトを使用すること
 上向きでヘッドライトを使用すると光が反射してまぶしくなります。

駐車灯またはフォグランプのみでの運転は絶対にしないこと

車間距離を長く確保し、前方が見える範囲内で停止できるようにすること

車線の横断や追い越しは必要な場合を除きやめること

目には見えない交通の音に耳を澄ますこと

必要に応じてワイパーとデフロスター(フロントガラスの曇り止め)を使用し、最良の見通しを確保すること

 運転中に霧が濃くなりほとんど何も見えなくなったら、道路端に車を寄せてハザードランプを点灯し、天候が改善するまで待つようにしてください。


警察などから停止命令を受けた時に行うべきこと

 走行中警察などから停止するよう求められた時、たとえその理由が分からなかったとしても、警察の指示に従って停止してください。その際に気を付けるべきことは以下の通りです。

①(右折)方向指示器を点灯させ、警察の存在に気付いていることを知らせます。この時警察がスピーカーを使って誘導することがあるので、その場合はその指示に従います。

②右側の路肩に車両を寄せてください(移動してください)。くれぐれも中央分離帯や反対車線側に停止しないようにしてください。高速道路では、カープール(HOV)車線にいる場合でも、最終的には完全に右路肩へと移動します。その場合は、急に(鋭角に)右路肩に向かうのではなく、安全を確保しながら徐々に右車線を移動しながら路肩に行ってください。暗い時間帯の場合、可能であれば道路から離れた照明が当たっている場所、例えば街灯下や、レストランやガソリンスタンドの近くなどの明るい場所を探してください。

③警察は停止命令を最短時間で完了させる必要があるため、ドライバーに警察とのやり取りに全神経を集中することを求めます。そのため、携帯電話などでの通話はやめ、ラジオや音楽は切るようにしましょう。

④警察の指示がない限り決して車外に出てはいけません(車内に留まってください)。停止命令中の警察の優先事項は、ドライバーと同乗者、および警察自身の安全確保です。ほとんどの場合、ドライバーと同乗者にとって安全な場所は車内となります。警察の指示なしに車外に出ることは、他の走行車にはねられるリスクが高まるだけでなく、警察のドライバーに対する警戒レベルを高めることになります。

⑤ドライバーはハンドルの上に、同乗者は膝の上など、警察からはっきり見えるところに両手を置いてください。停止命令中、車内にいる人の手が見えないと警察の警戒レベルが高まります。これは、警察に対する暴行犯罪事件のほとんどが、手で銃器や鋭利な物を持って発生しているからです。もし窓ガラスが色付きであれば、右路肩に停止後、警察とのやり取りを行う前に窓ガラスを下げてください。


疲労時の運転または居眠り運転について

 激しい疲労や眠気はドライバーの視力に悪影響をおよぼし、危険(物)の察知反応を鈍らせます。そのため、疲れていたり眠い時は運転をしてはいけません。

 よく誤解されているのですが、以下の対応は居眠り運転の予防にはなりません。

 ✕ 窓を開ける
 ✕ カフェインや糖分を摂取する
 ✕ ラジオや音楽の音量を上げる
 ✕ エアコンをつける

 反対に、以下の行動が居眠り運転の予防につながります。

 〇 運転前に十分な睡眠をとり、十分な休息を得るまで運転しない。

 〇 誰かに同乗してもらい、眠気が来たら同乗者に運転を代わってもらう。

 〇 疲れていなくても定期的に休憩する。

 〇 ライドサービス(運転代行サービス)や家族・友人に連絡し、目的地まで連れて行ってもらう。

 「あらためて言われなくても分かっている」と反論されそうですが、この当たり前の行動がなかなかできないのが現実。気を付けてください。


運転時の医薬品摂取について

 処方箋の有無に関わらず、すべての薬は潜在的に危険であり、運転能力を低下させる可能性があることを覚えていてください。カゼやアレルギー用の処方箋なしの薬は眠気を誘発し、運転能力に悪影響を与える場合があります。運転する前に薬を服用しなければならない時は、事前に医師や薬剤師にその薬の作用(反応)を確認しておきましょう。服用する薬の作用(反応)を知っておくことはドライバーの責任です。運転前に以下の事柄を行わないようにしてください。

  • 医師に指示された場合を除き、薬をまとめて飲まない。

  • 他人用に処方された薬は飲まない。

  • 薬(処方箋の有無を問わず)をアルコールと一緒に服用しない。


車両盗難防止のヒント

 アメリカは、車両あるいは車両部品の盗難が多い国です。そのため、日本にいる時と同じ気分で駐車していると、車上荒らしなどに遭遇する可能性があります。そうした被害を回避するための有効なヒントをご紹介します。

【絶対にやってはいけないこと】

  • エンジンをかけたまま同乗者なしで車を放置すること(小走りで店に寄るのもダメ)。

  • 鍵をエンジンスイッチに入れたまま車を放置すること。

  • 財布やノート型パソコンなどの貴重品を車内の目に付く場所に残すこと。

  • 車両所有権やクレジットカードなどの個人身分証明書(文書)を車内に残すこと。

  • 自宅などの施錠された車庫内、あるいは鍵隠し用ボックス内に鍵を残さない。

【常にやっておくべきこと】

  • 隙間なく窓を閉め車両を完全に施錠すること(自宅前に駐車する場合でも同様)。

  • 可能であれば常に交通量の多い、十分な照明で照らされているエリアに駐車すること。

  • 貴重品や私物は外から見えないところ(外の目に触れないところ)にしまっておくこと(基本的には車内に物を残さないことが重要)。

  • 車両盗難に遭ったらすぐに警察に報告すること。

  • あらかじめナンバープレートおよび車両情報書類のコピーをとり、それを車内以外の場所で保管しておくこと(車両盗難の場合は警察などにこれらの情報の提出が必要)。