大体の場合、フォトグラファー探しの第一歩はウェブ検索となります。膨大にあるフォトグラファーのリンクを、一番上からひとつずつクリックして見ていくことになりますが、ウェブサイトに飛んだらまず皆さんはどのページをご覧になりますか。
料金?
作品?
サービス内容?
お客様の声?
フォトグラファーのプロフィール?
そのどれも重要ですね。しかし少し意識を変えて、以下の3項目に注意してみてください。
①自分のこだわりを考える
フォトグラファーには、それぞれ得手不得手があります。言い方を変えれば独特の「クセ」があり、それがフォトグラファーの味になっています。
では、フォトグラファーのクセとは一体何でしょう?
被写体の「動き」はどうか
じっとポーズを取ている写真が多い?それとも動きのある写真が多い?あるいは普段の自然っぽい(=スナップ的な)写真が多い?全体の「雰囲気」はどうか
ピースしたりおちゃらけたりするなどカワイイ写真が得意そう?あるいはジャンプしたり走ったりなど楽しく元気な写真?それとも外国っぽくオシャレでカッコいい写真が多い?写真の「仕上げ」はどうか
柔らかい色合いで仕上げている?それとも雰囲気のあるくすんだ色合い?逆にビビッドで派手な感じ?
これらの違いによって写真の持つパワーや意図、印象・テイストが変わってきます。ウェブ検索をしていて「あっ、この写真すごく好き!」と思った時、なぜいいと思ったのか上の例と照らし合わせて考えてみてください。当てはまる項目があなたの写真に対するこだわりです。
②気に入った写真のフォトグラファーに依頼する
ウェディングフォトの撮影サービス会社は以下に大別されます。
①総合ウェディング会社
式場からヘアメイク、料理、送迎、オプショナルツアーなど、ウェディング(結婚式)の全般業務を総合的に請け負う会社
②ウェディングフォト会社
複数のフォトグラファーを抱え、基本的には撮影業務のみ請け負うウェディング写真専門会社
③個人のフォトグラファー
私のような個人経営の会社。フリーランスフォトグラファー
【①のフォトグラファー選び】
基本的に会社側が手配するフォトグラファーに撮ってもらうことになります。つまり、そのフォトグラファーがどんな写真を撮るのか分からないまま撮影してもらうということです。
ですから当然「できあがりが期待ハズレ」「想像と違う」「好みじゃない」などの不満が出てくる可能性があります。実際①の会社では、写真に関するクレームが一番多いそうで、ネットでもそうした苦情が散見しています。
大体の場合フォトグラファーを指定するのは難しいのですが、運良く好みのフォトグラファーを指名できたとしても指名料がかかる場合が多いです。こうした会社を利用する場合は、写真のクオリティーや好みに重点を置くというより、結婚式がつつがなく終われるようサービス全体に重点を置くことになります。
【②のフォトグラファー選び】
ある程度大きなウェディングフォト会社であればそこそこ大勢のフォトグラファーを抱えているでしょうし、そこに属する(あるいは契約している)フォトグラファーのスキルや作品の質は一定レベル確保されていると思います。また、フォトグラファーの顔写真とその作品例、簡単なプロフィールなどが併記されていれば、自分のテイストに合う写真を撮ってくれるフォトグラファーを選ぶ(=指名する)ことはさほど難しくないでしょう。
しかしここで気を付けていただきたいのが、どんなフォトグラファーがいるのか明確にしていない、つまりサンプル写真はたくさんあっても、フォトグラファーの顔写真や名前がなく撮影者を明記していない会社です。サービス内容とサンプル写真は大々的に紹介しておきながら、肝心のフォトグラファーの詳細を載せていないウェブサイトやSNSページを作っている会社のことです。
その中でも特に注意すべきは、「経験豊富なフォトグラファーが責任を持って撮影し…」など漠然とした営業文句で集客している会社です。どんなフォトグラファーがいるのか明らかにしていないのに、このようなうたい文句で集客している会社は、
①決まったプロフォトグラファーがいない
②本業が別にある副業フォトグラファーを雇っている
③学生あがりの経験の浅いフォトグラファーを雇っている
④フォトグラファーの入れ替わりが激しく、撮影者はもういない
などが考えられます。こうした会社では、発注ごとに異なるフォトグラファーが派遣されますので、期待通りの写真ができ上がりにくくなります。ですから、フォトグラファーの詳細がないウェディングフォト会社で撮影を依頼するのはキケンです。
こうした会社で依頼するなら、「私はこの写真が好きなのですが、これを撮ったフォトグラファーを担当にしてください」とはっきり指定してください。そして、もしそのフォトグラファーがいなければ依頼しない方がいいでしょう。好みの写真を撮ってくれるフォトグラファーでないと依頼する意味がないですからね。
【③のフォトグラファー選び】
弊社のように、フォトグラファー本人の顔写真と名前、経歴を明記し、その者が撮影した写真をサンプルとして紹介している個人会社(フリーランスフォトグラファー)だと選ぶのは簡単。撮影者と作品が一致しているので、作品が気に入ったということはそのフォトグラファーが気に入ったということですから、おおよそ希望通りの仕上がりが期待できるはず。安心してご依頼ください。
【インスタのヒント】
個人のフォトグラファーのインスタには、その人の作品しか載っていません。
一方、上記①、②のインスタアカウントにはいろんなフォトグラファーの写真が載っています。
通常こうしたページでは作品にフォトグラファーがタグ付けされていますので、気になる写真を見つけたらそのフォトグラファーのアカウントに飛んで他の作品も見てみてください。他の写真も自分好みであれば、その人を指名してください。
反対に、フォトウェディング会社などで撮影者がタグ付けされていない写真を掲載している場合は、「もうそのフォトグラファーはいない」「決まったフォトグラファーがいない」「アマチュアのフォトグラファーが撮影している」など、つまりは「誰が撮ったか言えない、あるいは隠している」ということが考えられます。
こうした会社に撮影依頼を考える場合、気になる写真を撮ったフォトグラファーは今もいるのかを確認したうえで、いるならその人の過去の作品を見せてもらうとともに、どんなキャリアを持っているのか聞いてください(←これ非常に重要です)。
要は会社任せにせず、自分好みの写真を撮ってくれるフォトグラファーを指名するということが重要です。会社のペースに巻き込まれず、これくらい厚かましくフォトグラファーを探してください。
③テスティモニアル(お客様の声)を読む
作品が良くても、フォトグラファーの人となりが悪ければ撮影の依頼を躊躇しますよね。しかしこればかりは会ってみないとわかりません。
そんな時、テスティモニアル(お客様の声)が役立ちます。私の考えるいいフォトグラファーとは
自分のフォトスタイルを持っている
撮影中に的確な指示が出せる
自分の主張を押し付けない=お客様の希望を最優先する
です。
テスティモニアルの中で、フォトグラファーに対して何かしら統一した感想や事例が書かれていれば、それがフォトグラファーの確たる魅力として信頼してもいいと思います。
逆に、テスティモニアルのないフォトグラファーへの依頼は躊躇してもいいでしょう。また、テスティモニアルがあったとしても具体性に欠ける(漠然とした)内容がつらつら書かれているような場合は読まなくていいとさえ思います。これは、会社(あるいはフォトグラファー)側からの指示に基づき書いている可能性があるからです。
テスティモニアルの件数も重要です。テスティモニアルは、もちろん具体的でいい内容であることが前提ですが、多ければ多いほどいいと思います。通販でもレビューが少ないと不安ですよね。それと同じです。
④キャリアをきちんと読む
フォトグラファーは、試験も資格も必要なく“自称”でなれる職業。ですから、いいフォトグラファー選びにはキャリア確認が欠かせません。
キャリアを載せていないフォトグラファーは、単純にキャリアがないか、あるいは経験が浅いのだと思います。もちろんキャリアが浅くても上手なフォトグラファーはたくさんいますが、そうであれば自分の顔写真と共に質の高い作品をウェブやインスタで紹介したり、テスティモニアルを公開したりするなど、キャリア不足を補う根拠が示されているはずです。
キャリアを見る時は、
写真教育のバックグラウンド
フォトグラファー歴/経験
ウェディング以外の撮影可能分野
などに注目してください。もしこれらの情報を公表していないフォトグファラーであれば、キャリアを聞いてみてください。確認してみると、表向きは「●年の経験あり」と書いてあってもそうでない場合があります。専業フォトグラファーに見えても、実は兼業の場合もあります。それでも上手であれば問題ありませんが、作品にはキャリアからにじみ出る「味」が表れますし、一般的にキャリアが長いほど撮影のバリエーションが多く、とっさの対応力にも信頼がおけると言えます。④のテスティモニアル同様、具体的かつ明確なキャリアを紹介しているフォトグラファーを選ぶことが重要と言えます。
「ウェディング以外の撮影可能分野」についての補足です。ひと口にフォトグラファーと言っても、ウェディング以外にポートレイトやファッション、プロダクト、フード、建築など、さまざまなジャンルに分かれています。それぞれ撮影の仕方は大きく異なるうえ、互いの垣根は非常に高く、専門分野を決めて撮影しているフォトグラファーがほとんどです。
ウェディング撮影を依頼する場合、ウェディングを専門にしているフォトグラファーを選ぶことは大前提ですが、ウェディングをメインにしつつそれ以外のジャンルを撮影しているフォトグラファーもいいと思います。他分野の撮影経験はウェディング撮影にも応用できるからです。例えば、ポートレイトやファッションのスキルは、新郎新婦の美しくもかっこいいシーンの撮影に役立ちますし、フードのスキルは披露宴のお料理ショットに、建築のスキルはチャペルや結婚式場の内・外装の撮影に役立ちます。
⑤エディット(画像編集)スキルをみる
デジタルカメラが一般的な今、撮影後のエディットスキルは非常に重要です。エディットには、Adobe社製の「Lightroom」や「Photoshop」「Bridge」などのプロ仕様のプログラムがよく用いられますが、フォトグラファーはそれらに精通していなければなりません。
一般の方がフォトグラファーのエディットスキルを判断するのは難しいですが、簡単に言えば仕上がりがナチュラルであればエディットは上手だと思います。また、少々ナチュラルでなくても、写真の主題やテーマを際立たせるために色合いやコントラストを変え雰囲気よく、あるいは意図的にドラマチックに仕上げているのであれば、それも上手と言えます。
注意すべきは極端なエディットです。コントラストを異常に高めたり、激しく色をオフにしたりビビッドにしたり。写真ではなく、まるで絵画やポスターのように「加工」するような編集は、撮影の失敗や作品の質の低さをごまかしている場合があります。全体の中で数枚であれば意図した作品としてみることができますが、そればかりだとなかなか辛いものがあります。
補足:料金について
フォトグラファー選びには、撮影費が大きく影響しますよね。安いに越したことはないでしょうが、「撮影費の安さ」を最優先条件にすると、どうしてもフォトグラファー選びに制限がかかってしまいます。
フォトグラファーの世界では、自分の作品や提供サービスの質に合わせて各自値段を設定しますので、相場はあってないようなものです。
また、「作品の質(技術)の高さ=価格」が成立するのはどこの国も同じこと。
うまいフォトグラファー = 高い撮影費
はあっても
うまいフォトグラファー = 安い撮影費
は絶対にありません。
フォトグラファーに限らず、技術を売る仕事ではキャリアが長くスキルが高いほど値段は上がります。実際いろんなフォトグラファーのサイトを見てみると、撮影費の安さをウリにしている人はほとんどいません。もし低価格を売りにしているとすれば、それは作品に自信のない表れだと私は思います。
「撮影費」が重要なのは分かりますが、まずはあなたが最低限譲れないこだわり(条件)に沿って複数のフォトグラファーに絞り、最終的な選別条件として「撮影費」を用いればいいと思います。
もちろん、撮影費の安さが最優先事項であれば、撮影費で選んで悪いことはありません。ただし金額で会社(フォトグラファー)を比べる場合、表に見えている金額だけで比較するのはキケンです。その代表例が税金。表示価格(見積価格)は内税なのか外税なのか、そもそも税を取るのか取らないのか、納品物(アルバムなど)の送料は有料か無料かなど、これらは最終金額や納品物の数や重量が分からないと出てこない金額です。ですから、これら表に出てこない金額も見積もりの段階できちんと算出してもらったうえで各社比較してください。税や送料を入れると意外と金額が変わらないことも多々あります。
皆さんにとりまして最適なフォトグラファーが見つかることを願っています。