今日のロサンゼルスでは、ほとんどの抗議活動が平和的に行われたようです。ダウンタウンで逮捕者が出たと夕方のニュースで流れていましたが、これまでの暴動に比べるとかなり落ち着いています。
ここ数日、暴動や破壊行為がクローズアップされ過ぎていますが、本当は良識あるアメリカ国民が圧倒的多数を占めています。そうした人たちが行う(平和的な)抗議デモには多くの白人が参加し、中には警察官や保安官の姿も見られます。事件の加害者側の人間が抗議に参加することには、非常に大きな意味があります。人種や社会的立場が違っていても、フロイドさんへの警察官の非人道的な対応、そしてアメリカ社会に潜む人種差別への怒りは同じ。こうした抗議活動はとても健全です。
これを書いている今日は火曜日。朝からインスタを見たら、真っ黒の投稿がいくつも上がっていました。最初は何かわかりませんでしたが、後にこれが「Blackout Tuesday」という運動であることを知りました。(企業の)いたるところに存在する人種差別と不平等に意識を向けるため、6月2日火曜日に業務を一時停止するようアメリカ音楽企業の幹部らが呼び掛けたのが始まりだそうです。これにアメリカの大手レーベルや制作会社、著名人らが賛同し、音楽界以外の団体、一般人らも追随。今回の事件と人種差別に対して抗議姿勢を示しています。これには渡辺直美さんやローラさん、星野源さんなど、日本の芸能人も続々と参加しているようです。
私はBlackout Tuesdayには参加していません。
理由は、人種差別は悪いことと頭ではわかっていても、それが実感として分かっていないからです。もちろん人種差別を絶対に肯定はしません。Blackout Tuesdayが意義のある運動だと思うからこそ、いい加減な知識や思いで同調できないだけです。
私はあと2週間で在米19年目に入ります。しかし、この間にアメリカで人種差別に遭ったことはありません。32歳までいた日本でもしかりです。人種によって選ばれたり除外されたり、得をしたり損をしたり、利益を得たり不利益を被ったり…、こうした経験はありませんし、そうした目に遭った家族や友人もいません。そんな私に今回の事件は、「お前はこの事件に対してどう思うのだ」と私の人権意識について質問を突き付けてきました。
その答えは、まだはっきり出ていません。
だから気軽にBlackout Tuesdayに参加することがためらわれるのです。もし私が抗議デモに参加しても、他の参加者らと同じ熱量の怒りで抗議できるかどうかわかりません。勢いに乗って上滑りの主張を繰り返すだけの気がします。
私はアメリカ永住権を持っていますが市民権は取得していません。だから今も外国人で、このままこの国に住む限り死ぬまで外国人です。しかし、アメリカでは日本人であることが目立つことはなく、私を見て外国人だと分かる人は皆無です。それくらいアメリカは多民族国家です。だから人種間の軋轢や理解不能の部分はあって当然なのですが、そんな中で自分の言動が差別にあたらないよう自分を律しながら生きることが求められます。これは日本では意識していなかったこと。本当に難しいです。
話は変わりますが、Blackout Tuesdayに参加している先の芸能人の皆さん、人種差別反対の意思表明はいいのですが、それならまずは日本国内が先な気がします。また、チベットなど世界中にいろいろあります。日本では発言力が非常に大きい方々ですから、それらの人種差別にもぜひ声を上げていってほしいです。今回だけだと、単なるポーズとしか見えないです(苦笑)。
ちなみに上の写真は、私が留学生時代(渡米当初)の写真学科の友だち。4人とも人種が異なり、外国人は私だけです。アメリカはこういう社会なんです。
【Shigeyosh Takebe Photograhyからのお知らせ】
コロナで延期となっていた「ロサンゼルスフォトウェディング無料個別相談会」を東京と大阪で開催します。詳細はこちらをご覧ください。