アメリカは今大変なことになっています。新型コロナウイルスではありません。暴動です。
去る5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官のDerek Chauvin(デレク・ショーヴァン・現在は容疑者)が、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんの首を膝で押さえつけ死亡させた事件に対し、全米で抗議デモが行われています。今はどのTV局もこのニュース一色です。
抗議デモには、黒人をはじめとした有色人種だけでなく、白人も参加しています。このあまりにもひどい事件に対し、全米各地で抗議デモが起こるのは健全なことです。報道によると、デモのほとんどは平和的に行われているようですが、中には放火や略奪を伴う暴動に発展しているものもあります。
ロサンゼルスでは数日前からデモが起こり、昨日時点で500人以上が逮捕されました。今日はダウンタウンやビバリーヒルズ、撮影でもよく行くメルローズなどで放火や略奪といった暴動が発生。新たな逮捕者が多く出ています。
こうした状況を受け、エリック・ガルセッティLA市長は市全域に今夜(5/30)午後8時から明日午前5時30分まで夜間外出禁止令(curfew)を発令。同時間帯のバスや電車の運行を停止しました。また、治安維持のためにNational Guard(州兵)の派遣を要請。現在州兵がLAに向かっています。そして先ほど、ギャビン・ニューサムCA州知事が、ロサンゼルス郡に緊急事態宣言を発出。非常に危険な状況になっています。CNNによると、現在全米25の都市で夜間外出禁止令が出されており、すでに州兵が出動しているところもあるようです。
フロイドさんがジョーヴァン容疑者に押さえつけられている映像はTVで何度も報道され、今もネットで簡単に見ることができます。容疑者は、「苦しがっているから離してあげて!」「いつまで押さえつけているの!」という市民の声に聞く耳を持たずフロイドさんを押さえ続け、フロイドさんが動かなくなってからも2分ほど押さえていたといいます。
私もその動画を見ましたが、これは見るに堪えませんでした。フロイドさんは両手を後ろで縛られていましたので、明らかにやりすぎです。容疑者以外に3人の警官がおり、うち2人も同じように(膝ではありませんが)彼を押さえつけているなど、容疑者(ら)に言い訳の余地はありません。現在、ジョーヴィン容疑者は解雇+第3級殺人罪で逮捕・訴追。他の3人も訴追される可能性があるようです。
これまでもアメリカでは、警官による黒人の不当殺人が起こっています。それに対する米国民の怒りが、今回の事件を機に爆発しました。
直接的な原因ではないでしょうが、今年2月にランニング中の黒人男性が白人親子に射殺される事件があったほか、5月25日にはニューヨークのセントラルパークで、リードを付けずに犬を散歩させていた白人女性が、それを注意した黒人男性に立腹。「アフリカ系アメリカ人に脅されている」と、何度も「アフリカ系アメリカ人」という言葉を繰り返し警察に助けを求めた動画が公開され、人種差別に基づく行為として大批判を帯びました。誤解のないように付け加えると、「アフリカ系アメリカ人」(African American)という言葉は差別用語ではありません。「アフリカ系アメリカ人」を強調(連呼)することで、より簡単に警察に来てもらえるだろうという彼女の人種差別意識に問題がありました。
さて、フロイドさんの死に対するデモが暴動化していることに対しては、厳しい批判が出ています。私も見ていて気分が悪いです。暴徒たちは何を考えて略奪や放火を行っているのか。それがフロイドさんへの弔いになるとでも思っているのか。見ていて腹立たしいですし、勘違いも甚だしい。決して許せません。暴徒は犯罪者。逮捕されて当然です。
ただ、フロイドさん事件の根底にある人種間の軋轢や人種差別の意識は非常に根深く、それに関して私はまだまだ理解が足りていません。この件について、「自分自身に何も起きていないからといって、何も起きていないというわけではない」というプロテニスの大坂なおみ選手の発言を読み、大好きなアメリカだからこそ、そこに暮らす者としてこの問題をもっと知る必要性を感じています。
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